小笠原流礼法宗家挨拶

小笠原流礼法宗家挨拶

小笠原流礼法  宗家 小笠原敬承斎

「小笠原流礼法」とお聞きになると堅苦しいメージを持つ方がいらっしゃるかもしれません。しかしながら、礼法の基本は、相手を大切に思う「こころ」であり、その「こころ」をどのように表現するのかという「かたち」が作法です。

当流に伝わる伝書には、細かな作法が述べられておりますが、文末に「いづれも時宜によるべし」と書かれている箇所が多くございます。これを現代の表現におきかえるならば、「時・場所・状況に沿って自然な行動をしなさい」という意味が含まれています。つまり、礼法は決まりごと一辺倒なことではなく、時・場所・状況に応じた、的確な判断をもととした自然な振る舞いであることが、約七百年ほど前から武家社会の中で確立し育まれてきたのです。


すべての作法には理由があります。その理由を理解せずに、かたちのみを伝えることがすなわち伝統・伝承であると錯覚されることは誠に残念です。また、作法やマナーを学び、特別の知識を得る目的が、自分だけを引き立たせることや、自分が恥をかかないことのみにつながってしまうのは、「礼」のこころから遠ざかるばかりです。

2020年には、日本においてオリンピックが開催されますが、我が国の「おもてなし」の背景には、先人たちによって受け継がれてきた美しいこころと所作があることことを一人でも多くの方に理解いただきたいと思っております。

日本独自の「おもてなし」を実現させるためにも、西欧と日本の文化が混在する現代において、「国際化」を叫ぶ前に、日本人として自国の文化に目を向けて、それらを身につけることが大切ではないでしょうか。その一つのきっかけとして室町時代より伝えられ、育まれて きた「礼法」に、皆様のこころの扉を開いていただけましたら幸いと存じます。

長い年月を経て、先代は「一子相伝」また「お止め流」として一般の方々には伝えることのなかった 「小笠原流礼法」を広く皆様にご紹介してまいりました。その遺志を継ぐ者として、多くの方々に対して、 現代に生きる「礼法」の「こころ」をお伝えしてまいりたく、このホームページがその一端となりますることを、 こころより願っております。